「フレッツ光ネクスト(1Gbps)にしたのにネットが遅い!」という人は世の中にゴマンといるだろう。自分もその一人だった。
様々な地雷プロバイダを踏み、いい加減まともなスピードが出るプロバイダはないのかと絶望し、一時期INTERLINK(月額1000円ほど)に難を逃れていた。
そこで、ここはやはりIPv6にするしかないだろうと重い腰を上げることにした。IPv6といっても、IPv4サイトへのアクセス時にもIPv6の経路でなくてはならない。いわゆるIPv4 over IPv6(IPoE)接続のこと。プロバイダのページではよくV6プラスと呼ばれている方式だ。
というわけで、ひかり電話なしでBIGLOBEでIPoE接続ができるようになったので、その方法を書いていこうと思う。おそらくこの記事が参考になる人も多いだろう。
前提とゴール
混乱を避けるためにまず最初に言っておくと、BIGLOBEは2017年夏ごろにV6プラスの新規受付を終了した。どういうことかというと、BIGLOBEには以前から「フレッツ光 IPv6接続のご案内」という、名前の似かよった紛らわしい申し込み画面があり、しかもV6プラスの申し込み画面と酷似していたこともあり、混乱を招いていた。
しかもどちらを申し込めばよいかが非常にわかりにくく、ITに詳しい人間でもBIGLOBEに問い合わせるほどであった。そこで、この2つを「IPv6オプション」1本に統一したというわけだ。(多分ね)
世間ではV6プラスという名称がかなり使われているが、ここでは、どんな経路であれIPv6接続する方式をIPoEと呼ぶことにする。
今回紹介する方法の前提は以下。
- 回線はフレッツ光ネクストマンション(1Gbps)
- プロバイダはBIGLOBE(ひかりコース。詳細は後述)
- ひかり電話なし(後述)
- ルーターはIPoE対応のものを自前で用意する
簡単に言えば、ルーターをレンタルせずに、IPv6網にIPoE接続をして、快適なインターネットライフを送りたい人、という感じだろうか。
回線とプロバイダを別々に契約する(ただし必須ではない)
通常、インターネットの契約をする場合は、フレッツ回線とプロバイダがセットになった契約をしている人が多いと思うが、ウチの場合はプロバイダをいつでも乗り換えできるように、フレッツ回線の契約とプロバイダの契約を別々にしている。INTERLINKを使っているような人はこのような契約形態にしている人が多いのではないだろうか。
そして、BIGLOBEには、「ひかりコース」というプロバイダのみの契約ができるコースがひっそりと存在している。

メリットはいわゆる2年縛りを入れないでおけば、ペナルティなしでプロバイダを乗り換えられることだ。とりあえず接続と速度を試してみることができるので、安心して契約できるし、あとから2年縛りを入れれば安くすることもできる。
自前でルーターを用意しておけば、ルーターの設定を変更するだけでプロバイダの乗り換えを完了できるのが、この方式の最大のメリットだ。
このような「プロバイダのみの契約」ができない接続業者もけっこう存在するし、仮に用意されていたとしても、ホームページのトップからだと見つけにくい場合が多い。回線とセットにするとプロバイダの乗り換えがとても面倒になるので、客を囲い込むことを考えるなら、プロバイダのみの契約はあまり表に出したくないのだろう。
ただし、今回紹介する方法はBIGLOBEの「ひかりコース」限定の方法というわけではない。普通に回線とセットの接続コースを使っていて、ひかり電話は申し込んでいないけれども自前のルーターでIPoE接続をしたいという人も同様の方法で接続できると思う。
自分の場合、フレッツを契約する時から、ひかり電話はいらないと思っていたので、ONUはひかり電話をつなげられない小型タイプのものを使っている。おそらく電話を繋げれるタイプのものでも大丈夫だと思われる。
なお、ひかり電話を使っていてNTTからひかり電話対応のルーター(HGW = ホームゲートウェイ)を借りている場合は、この記事はほとんど必要ない。フレッツでV6オプションを申し込んでから、BIGLOBEでIPv6オプションを申し込めばおそらく簡単に繋がるだろう。
というわけで、今回の方法が目指すゴールは以下のようになる。
- IPv6接続ができること
- IPv4のサイトへの接続時にも、IPv6の経路が使われること。(IPv4 over IPv6)
- ひかり電話は契約しない
ルーター
IPoE接続にはIPv6対応のルーターが必須である。といっても、IPv4 over IPv6通信ができるものでないとダメなので、基本的にはプロバイダが推奨するルーターを用意するのが最も安全だろう。
ウチの場合は、BuffaloのWXR-1901DHP3を購入して接続した。実売価格は16,000円ほどで、安いとは言えないがIPoE接続するにはどうしても必要なので、必要経費と思って払うしかないだろう。
なお、BIGLOBEが接続できる機器として挙げているのは、以下になる。
- WXR-1750DHP(実売9,500円ほど。)
- WXR-1900DHP(実売19,000円ほど。)
- WXR-1900DHP2(実売15,000円ほど。)
- WXR-2533DHP(実売19,000円ほど。)
- WXR-2533DHP2(実売18,500円ほど。)
しかし、一般家庭の場合は、最初に挙げたWXR-1901DHP3で必要十分だろう。ワンルームの一人暮らしなら、WXR-1750DHPで良いと思う。
ちなみに、ウチは一般的な3LDKのマンションで、WXR-1901DHP3を設置しており、設置位置はベランダのすぐ側なので、玄関の隣の部屋までは距離がある。この環境でのルーターからドアを2枚隔てた最も遠い部屋におけるアンテナ状況は以下のようになっている。
iPhoneの場合
・2.4GHz 3本中3本
・5GHz 3本中2本
MacBookProの場合
・2.4GHzも5GHzも4本中4本
なお、部屋までのドアの数や材質によっても状況は変わるだろうから、参考までにしてほしい。
次からは、IPoE接続をするまでの流れを説明していこう。
1. NTTのV6オプションを申し込む
BIGLOBEとの契約は完了していて、現在はPPPoEで接続しているものとして話を進める。まず必要なのがNTTのV6オプションの申し込みだ。
NTT西日本
ウチはNTT西日本なので以下で申し込んだ。
https://www.flets-west.jp/wso/
申し込みが完了すると、以下のようになる。
v6オプションの詳細ページは以下のようになる。
NTT東日本
NTT東日本の場合は以下のページから申し込む。
https://flets.com/v6option/
画面は大体同じような感じになるのではないかと思う。
2. BIGLOBEのIPv6オプションを申し込む
次に、BIGLOBEでIPv6オプションを申し込む。
http://support.biglobe.ne.jp/ipv6/option.html
上で書いた通り、以前は「V6プラス」と「フレッツ光 IPv6接続のご案内」という2つの申し込みページがあって混乱もあったが、現在は「IPv6オプション」で統一されているので迷うことはないだろう。
なお、「IPv6オプションのご案内」のページには、「対象コース」という欄があるので、自分が契約しているコースが対象かどうか確認してから申し込もう。
ちなみに、「IPv6オプションライト」というオプションサービスも存在するが、こちらはIPv6に対応していないサイトへの接続は、IPoEではなく従来のPPPoEとなってしまうため、今回は対象外だ。
3. ルーターの初期化と設定
IPv6オプション接続を申し込んだ後、しばらくすると、BIGLOBEから、
といった感じの件名のメールが届くはずだ。
ここで、「IPv6オプションのご案内」ページに行くと、ページ右上が「Connected via IPv6」となると思う。
しかし、これだけだとまだIPv4 over IPv6で接続できるようになっているかどうかはわからない。
判定は以下のページで行う。
http://ipv6check.biglobe.ne.jp/
ここで、試験10がNGならIPv4 over IPv6はできていないので、一度ルーターの設定を初期化する。
なぜ初期化するのかだが、「BIGLOBEの人がそう言っていたから」としか言いようがない。どうも最初にルーターの設定をする際に、ユーザー認証というのが行わられるらしく、それをやってしまうとダメらしい。
曖昧な答えしか返ってこなかったので原理がイマイチよくわからなかったが、内部でルーターとBIGLOBEが紐付けされてしまうのかもしれない。
とにかく、以下の点に気をつけてルーターを初期化する。
- ルーターの背面にあるAUTO/MANUALを「MANUAL」にする。
- 同じくルーターの背面にある動作モードはROUTERにする。
- 電源を入れたままルータの底面の初期化ボタンを押す。(針金とかシャーペンの先とかで)
- 管理ページにアクセスしてログインをする。
- Internet → Internetの「IPアドレス取得方法」を「v6プラス接続を使用する」に設定する。
- Internet → IPv6の「Pv6接続方法」を「IPv6パススルーを使用する」に設定する。
ポイントは、PPPoE接続設定をしないこと。ここまで出来たら、10分ほど放置して待つ。設定してすぐには繋がらない。
Internet設定
IPv6設定
PPPoE設定
ここは触らないので、設定は空になる。
4. 経路確認
ネットに繋がっても、IPv4 over IPv6で繋がらなければ意味はない。以下の2つサイトで、動作と経路の確認をしよう。
IPv4/IPv6接続判定ページ
先ほども紹介した判定ページ
http://ipv6check.biglobe.ne.jp/
試験項目が10個あるが、試験9はホームゲートウェイ用の試験項目なのでNGで構わない。試験10がOKなら問題なし。
なお、NTT西日本のフレッツの場合は、試験5と試験6は当然できないので、試験不能となる。(横棒が表示される)
逆に、NTT東日本の場合は、試験7と試験8が試験不能となる。
IPv6テスト
このサイトにアクセスすると、すぐに判定が行われる。
ここで確認したいのが、「IPv4 connectivity」のウィンドウ内にある「Hostname」の項目だ。
ここが、「*********.mesh.ad.jp」となっている場合、既存のIPv4の経路を使っていることになるので、何か設定がおかしい。
「********.v4.enabler.ne.jp」となっていれば、IPoE接続されており、晴れてIPoEの設定は完了だ。
あとは、ルーターでDHCPや無線LANなどの設定を好きなように変更しよう。
スピードテスト
スピードテストは、Flashがインストールされていなくても使える以下が便利だ。
https://sourceforge.net/speedtest/
海外なので国内のスピードテストサイトよりも速度は出ないかもしれないが、日中と夜の速度差を測定するのに使うといいだろう。
まとめ
IPoEにして半年以上が経過しているが、ウチでは最も混む夜間でも以前よりも安定してスピードが出ている。動画がカクつくこともないし、Steamで大容量のゲームをダウンロードする場合も、あたかも昼間のようにあっという間に終わるようになった。
みんながIPoEに移行してしまえば、またスピードの問題は出てくるかもしれないが、とりあえず向こう3〜4年は安定したスピードが確保できるのではないかと思う。
ただ、1点だけ問題が出た。
自分が最も懸念していたことでもあったのだが、やはりその懸念は現実のものとなってしまった。
それは、バッファローのルーターがとにかく不安定なのだ。すぐにフリーズする。一日に5回以上フリーズすることもあり、そのたびにルーターを再起動するために部屋を移動しなければならない。
これにはかなりストレスが溜まった。「BIGLOBE公式の推奨だったので仕方なく選んだが、やっぱりバッファローはダメだったか」というのが正直な感想ではある。
これに関してはすでに解決しているので、別の記事でいかにして解決したかを書く。