本体を除けば、パソコンで絶対に必要なのがディスプレイだ。
キーボードがなくてもマウスでなんとかなるし、
マウスがなくてもキーボードがあればなんとかなる。
しかし、ディスプレイがなければ何が起きているのか全くわからない。
ディスプレイはユーザーにとって最も基本的かつ重要なインターフェースだが、
軽視されていることも多いインターフェースだ。
ディスプレイの大きさ
ディスプレイの大きさは、ユーザーにとっての見やすさに影響する。
基本的には大きいディスプレイほど見やすさは向上する。
小さいディスプレイは表示できる情報量が少ないので、
基本的に見づらくなる。
ただし、あまりに大きすぎると顔を動かさなければならなくなるので、
逆効果になる。
それゆえにiMacの27インチは人によっては疲れるディスプレイだろう。
オレの経験上、
最も見やすいのは24インチのディスプレイだと思う。
iMacも24インチモデルを出すといいのにとよく思う。
体の大きいアメリカ人にとっては、
27インチが一番見やすいディスプレイなのかも知れないが。
画面の広さ(解像度)
画面の広さというと、ディスプレイの大きさと何が違うのか?
と思う人もいるだろう。
ここでいう画面の広さとは解像度のことだ。
テレビでいうとHDとかFull HDのことになる。
最近だと4Kだ。
画面の解像度とディスプレイとしての大きさはだいたい比例関係にあるが、
完全に比例するわけではない。
24インチクラスのディスプレイでも、
HD+(1600 x 900。今はまず見られない)のものもあれば、
最近多いFull HD(1920 x 1080)や、
一部のディスプレイで採用されているWUXGA(1920 x 1200)のものもある。
解像度の違いは、
表示できる情報量の差となる。
解像度が高くなれば、
それだけ表示できる情報量が多くなり、
それは作業効率に影響する。
ただし、ディスプレイ自体が小さいのに解像度があまりに高いと、
文字が小さくなりすぎて読みにくくなり、逆に作業効率が落ちる。
だからディスプレイの大きさと解像度はだいたい比例するのだ。
解像度による作業効率への影響をオレは高く見ている。
特にシステム開発の現場では、
いまだにSXGA(1280 x 1024)のディスプレイを使わせているところが多い。
これは金をドブに捨てる行為に等しい。
エンジア一人をシステム開発に従事させるのに、
月50万円は最低でもかかる。
2万円出せばFull HDのディスプレイが買える。
SXGAからFull HDにすると、画面の広さは約1.6倍(60%UP)となる。
もしこれで作業効率が5%アップするとすれば、
1ヶ月で元が取れ、それ以降もずっとその効果は続くのだ。
1度買ってしまえば、かなり長い年月使えるので、
驚異的なROEを発揮するのがディスプレイだ。
信じがたいことだが、
それでもディスプレイをケチる企業は多い。
画面の密度。Retinaの何が革新的なのか?
Retinaディスプレイは、AppleがiPhoneやiPod touchに搭載するようになったディスプレイだ。
それが今はiMacやMacbookのディスプレイに採用されるようになった。
Retinaディスプレイとは一体何なのかというと、
超高解像度のディスプレイを狭く使うということだ。
はい、わかりにくいね。
例えば、現在iMacには4096 x 2304という超高解像度の21インチディスプレイのモデルがあるが、
これを今までと同じように表示したら、
文字が小さすぎて読みづらくなるだけだ。
これをあたかもFull HD(約半分の解像度)のように扱うのがRetinaだ。
今までよりも同じものを表示するのに多くの画素を使うようにしたのだ。
つまり、描画密度が濃くなっている。
これによる効果は、実際に見てみるのが最も手っ取り早いのだが、
非常に滑らかな描画になる。
文字がにじまずにくっきりと描画されるので読みやすく、細いラインもくっきりとうつる。
とにかく見やすい。
Retinaは超高解像度パネルを贅沢に使っているディスプレイだと言える。
解像度を画面の広さ(表示する情報量の多さ)ではなく、見やすさに使っているのだ。
Retinaが革新的だったのはこの部分だ。
4K以上のディスプレイは不要?
最近は4Kディスプレイが注目されているが、
ことパソコンの分野においては、
これ以上の解像度が必要になるとは思えない。
これ以上解像度を上げても、
一般の人にはその差がよくわからないという世界に突入するだろう。
CD以上のサンプリングレートが一般の人にはよくわからないのと同じだ。
とはいえ、
UIとしてのディスプレイは、
以前は大きさと解像度だけでその性能が測られたが、
今後は大きさ、解像度、密度のトータルバランスで語られるようになるだろう。