使いやすいUIとは何か? そもそも編

今の時代、ITの世界においてもUI(ユーザーインターフェイス)の使いやすさが、
サービスの利用者数の増減を左右することもあるのは周知の事実だ。

あまりにも使いにくいUIを改善しないでいると、
使いやすい他のサービスに客を取られてしまうことはよくある。

じゃあ、
使いやすいUIとはなんぞや、と定義しようとしても、
おそらくそこに明確な答えは存在しないんじゃないだろうかと思う。

結局本人が使いやすいと思うものが、
その人にとっての最高のUIだったりするからだ。

しかしそれだと、
利用者数の増減を説明できないので、
多くの人にとって使いやすいと思われるUIは存在するのだろう。

でも、でも、(あえて2回言った)
人間工学的には明らかに優位なUIが、明らかに使いにくいUIに負けることだってある。

一番わかりやすい例が、WindowsとMacだと思う。

WindowsとMacの使いやすさは雲泥の差?

オレ自身はWindowsもMacも長年にわたって使ってきた。
Windowsは大学時代からだし、
Macもかれこれ8年ぐらいになると思う。

年数としてはWindowsのほうが圧倒的に長いが、
ここ3年ぐらいはメインで使うのはMacだ。

どっちのOSのほうが使いやすいか?と聞かれたら、圧倒的にMacと断言する。

例えば、システム周りの設定を取り上げてみよう。

Windowsでは、コントロールパネルを開くと、
よくわからないグループ名が並んでいたり、設定によってはたくさんの設定用のアプリケーションアイコンが並んでいる画面が現れる。
そこで何か設定アイコンをダブルクリックすると、それ専用のアプリケーションが立ち上がる。

Macの場合は、
システム環境設定というアプリケーションを立ち上げると、
似たカテゴリごとのアイコンがキレイに並べられた画面が出てくる。
これらのアイコンをクリックすると、その詳細設定画面に切り替わる。
元の一覧に戻るのも簡単だ。
要するに、一つのアプリケーションの中に設定がキレイに格納されており、使い勝手も統一されている。

絶対的な指標でいえば圧倒的にMacのほうが使いやすいはずだ。
しかし、普段Windowsだけを使っている人間にとってMacは使いにくいOSなのだ。

え?そんなの当たり前?
確かに。
でも結構見落とされていると思うよ。

iPadは革新的でもあり、革新的でもなかった

iPadが出た時、オレは思った。
これって、10年ぐらい前にMicrosoftがやろうとしたタブレットPCみたいなもんだよな、と。

そう、実はiPadが出るよりも8年前にMSはタブレットを流行らそうと躍起になっていたのだ。
2002年、Microsoftは、Windows XPにペン入力パソコンに必要な機能を組み込んだ「Windows XP Tablet PC Edition」というのを発表した。
しかし、一時注目を集めたものの世間には見向きもされず、大失敗に終わった。

たしかにMSが作ったタブレットはiPadとは違った。
重さも違ったし、UIもタッチペンだった。
当時、スティーブジョブズもタブレットPCをバカにしていたと記憶している。

それが、2010年にAppleからiPadが発売され、バカ売れした。
なぜこうも世間は全く異なる反応をしたのだろうか?

見せ方の問題もあっただろう。
Appleはプレゼン能力が異常に高かった(ジョブズがと言ったほうが良いかもしれないが)。

しかしもう一つ、
慣れの問題もあったのではないかと思う。

iPadが発売されるより3年前、AppleはiPhoneを発売している。
電話機能は除けば、iPadはiPhoneを大きくしたものだ。
だからすんなり受け入れられた。

じゃあ、なんでiPhoneは受け入れられたのかという疑問が湧くが、
それは次回以降に回そう。

UIの使いやすさには2つある

というわけで長々と書いてきたが、
UIの使いやすさの指標には2つあると個人的には思う。
すなわち、

  • 人間工学的・認知的な使いやすさ(絶対的な指標)
  • 慣れによる使いやすさ(経験による指標)

1は人間全般に有効な使いやすさだが、2は個人的な使いやすさである。
そして、2の評価が1を上回ることもあるということだ。

近年のWindowsに見られるスタートメニュー騒動もこれが当てはまるだろう。

つまりUIを設計する場合は、
今現在ユーザーの大半がどんなUIを使っているかについても意識する必要がある
ということだ。

一時期、WebサイトをFlashで制作するのが流行ったが、
今はそのほとんどが鳴りを潜めている。

Flashのほうが自由度が高く、使いやすいUIを設計することは可能だが、
多くのユーザーは一般的なHTMLによるサイトを使いやすいと感じた。

なぜならHTMLの場合は、ほぼすべてのサイトが同じ使い勝手であり、それに慣れていたからだ。
Flashのサイトに出くわすと、どこを押したら良いのかわからずユーザーは混乱した。

デザイナーが、「どうだ!使いやすいだろう!カッコイイだろう!」と渾身の力を込めて作ったサイトが、
ユーザーに「使いにくい!」と叩かれたのだった。

だから、人に「Macってどう?」と聞かれたら、
オレはこう答えることにしている。

「最初は使いにくいと感じるだろうけど、慣れればMacのほうが圧倒的に使いやすいよ。」と。

ウチの妻も、最初はMacを「使いにくい!」とさんざん文句をたれていたが、
今ではWindowsに戻るなんてあり得ないと言っている。